
伝送路反射とは、電子回路において高速デジタル信号や高周波信号が配線を伝わる際、インピーダンスの不整合により信号の一部が反射し、元の送信側に戻ってくる電気現象です。特に高速信号伝送において顕著に現れ、信号品質の劣化や通信エラー、EMI問題の原因となります。直流回路では問題になりませんが、数百MHz以上の高周波信号や立ち上がり時間の短いパルス信号では、配線のインピーダンス整合が必須となります。
伝送路反射が発生すると、負荷端の電圧が入力電圧の2倍近くまで上昇したり、信号波形が振動して安定しない現象が起こります。これにより、デジタル回路の誤動作やノイズによる干渉が生じ、製品の信頼性低下につながります。
伝送路反射の主な原因は、信号の送信側・伝送線路・受信側のインピーダンスが一致していないことです。例えば、特性インピーダンス50Ωの伝送線路に1MΩの負荷が接続されている場合、反射係数は約1となり、ほぼ全反射が発生します。この場合、5Vの入力信号が負荷端で反射し、約10Vの電圧が観測されることになります。
反射係数Γは、負荷インピーダンスZLと特性インピーダンスZ0により、Γ=(ZL-Z0)/(ZL+Z0)で計算されます。インピーダンスが一致していれば反射係数はゼロとなり、反射は発生しません。
信号配線の分岐点では、インピーダンスの不連続が生じ、反射が発生します。例えば、50Ωの伝送線路が二股に分岐すると、合成インピーダンスが25Ωとなり、反射係数は(25-50)/(25+50)=-1/3となります。また、配線の分岐部分がスタブ(行き止まりの配線)になると、そこで信号が反射し、波形品質が劣化します。
伝送路反射により、受信側で信号波形が振動し、安定した論理レベルが得られなくなります。インピーダンス不整合が大きい場合、負荷電圧が入力電圧の2倍に達することもあり、ICの絶対最大定格を超えて破損するリスクがあります。また、反射波が何度も往復すると、伝送線路内に定在波が発生し、元の信号波形が完全に歪んでしまいます。
反射による信号の振動は、1GHzを超える高周波成分を含み、EMI(電磁干渉)の原因となります。これにより、周辺回路への不要輻射や、他のデジタル信号への干渉が発生します。また、信号品質の劣化により、高速通信における通信エラーやビット誤りが増加し、システムの信頼性が低下します。
伝送路反射を防ぐ最も効果的な方法は、インピーダンスマッチングです。受信側に伝送線路の特性インピーダンスと同じ値の終端抵抗を配置することで、反射波を吸収し、全エネルギーを負荷に伝えることができます。また、送信側にシリーズマッチング抵抗を挿入し、ドライバー出力インピーダンスと伝送線路のインピーダンスを整合させる方法も有効です。
周波数が特定されている高周波回路では、波長の1/4の長さを持つ伝送線路を用いたインピーダンスマッチング手法があります。例えば、入力インピーダンス50Ωと負荷インピーダンス10Ωを整合させる場合、特性インピーダンス22.4Ωでλ/4の長さを持つ伝送線路を使用します。
高速信号の伝送では、基板設計段階から特性インピーダンスを考慮した配線設計が必要です。マイクロストリップラインやストリップラインなど、適切な伝送線路構造を選択し、配線幅や基板の誘電率を調整して目的のインピーダンス値に設計します。また、配線の分岐やスタブを最小限に抑え、インピーダンスの不連続点を減らすことが重要です。
現代の電子機器では、ICピッチの狭小化と高密度実装が進み、伝送路設計の難易度が上がっています。BGAやQFNなどの特殊パッケージにも対応し、高周波特性を維持しながら実装を行うには、設計から実装までの一貫した技術力が求められます。

高速デジタル信号を扱うケーブル・ハーネス実装では、伝送品質の確保とEMI/EMC対策が重要です。単なる配線作業ではなく、電気的特性を最適化した設計提案により、インピーダンス整合された配線を実現します。アナログ・デジタル混在回路での豊富な設計経験により、伝送路反射を抑制した高品質な実装サービスを提供できます。https://h-toa.toaele.com/service/1723
アナログ・デジタル回路設計において、伝送路反射を考慮した回路設計が必要です。高周波回路やマイクロ波アンプなど、特に反射の影響を受けやすい設計では、インピーダンスマッチング回路の組み込みや、適切な終端処理が不可欠です。仕様検討から製品完成まで一気通貫で対応することで、設計段階から反射対策を織り込んだ最適なソリューションを実現できます。
高速デジタル信号の伝送品質にお悩みではありませんか。伝送路反射による信号劣化やEMI問題は、製品の信頼性を左右する重要な技術課題です。ハマトウカンパニーは、高周波基板設計から部品調達、実装・組立まで一貫対応することで、インピーダンスマッチングを考慮した最適な伝送路設計を実現します。
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