マイコンを用いた電子回路設計は、家電製品から自動車、産業機器、IoTデバイスまで、幅広い分野で必要とされています。設計者は、小型化、高機能化、低消費電力化など、常に進化する要求に応えながら、信頼性と安定性を両立させた回路を設計しなければなりません。
しかし、マイコン回路設計には、いくつかの共通する課題が存在します。その中でも特に注意が必要なのが、ノイズ問題とESD(静電気放電)対策です。
ノイズは、回路の誤動作やデータの破損を引き起こす可能性があり、設計段階で十分な対策を講じておく必要があります。また、ESDは、人体に帯電した静電気が電子回路に放電されることで、回路内の素子を破壊してしまう可能性があります。
これらの課題を克服し、高品質なマイコン回路を設計するためには、適切なノイズ対策とESD保護対策を施すことが不可欠です。
マイコン回路設計におけるノイズ問題を解決するためには、ノイズの種類と発生源を理解し、適切な対策を講じる必要があります。
ノイズの種類としては、電源ラインからのノイズ、信号ラインからのノイズ、放射ノイズなど、様々なものが考えられます。発生源としては、周辺回路からのノイズ、外部からのノイズ、マイコン自身が発生するノイズなどがあります。
ノイズ対策としては、以下のような方法が挙げられます。
グランドループとは、複数の回路が共通のグランドラインを共有している場合に、電流がグランドラインを循環してしまう現象です。グランドループが発生すると、グランドラインにノイズ電圧が発生し、回路の誤動作を引き起こす可能性があります。
グランドループを避けるためには、以下の点に注意する必要があります。
グランドプレーンとは、回路基板の層全体をグランドとして使用する手法です。グランドプレーンを使用することで、グランドインピーダンスを低減し、ノイズの発生を抑えることができます。 グランドループを避ける、グランドプレーンを使用するなど、グランド設計を適切に行うことで、ノイズの発生を抑えることができます。
デカップリングコンデンサは、電源ラインに発生する高周波ノイズを除去するためのコンデンサです。マイコンなどのICは、動作時に高周波のスイッチングノイズを発生させます。このノイズが電源ラインに混入すると、他の回路に影響を与え、誤動作を引き起こす可能性があります。
デカップリングコンデンサを電源ラインに配置することで、高周波ノイズをグランドにバイパスさせ、ノイズの影響を抑制することができます。
シールドは、ノイズ源となる部品を覆い、ノイズの放射を抑えるための対策です。シールド材としては、金属板や導電性塗料などが使用されます。
シールドは、ノイズ源から発生する電磁波を遮断することで、ノイズの影響を抑制することができます。シールド材でノイズ源を完全に覆うことで、ノイズの放射を効果的に防ぐことができます。
ノイズフィルタは、特定の周波数のノイズを除去するためのフィルタです。ノイズフィルタは、コイルやコンデンサなどを組み合わせることで構成されます。
ノイズフィルタは、ノイズの周波数に合わせて設計することで、特定の周波数のノイズを効果的に除去することができます。
ノイズフィルタにおいては、以下の点に注意する必要があります。
ESD(静電気放電)は、電子回路に重大な損傷を与える可能性があります。人体に帯電した静電気が電子回路に放電されると、回路内の素子が破壊されることがあります。
ESD対策としては、以下のような方法が挙げられます。
マイコン回路の安定動作には、適切な電源設計が不可欠です。マイコンの動作に必要な電圧・電流を安定して供給できるよう、電源回路を設計する必要があります。
電源設計においては、以下の点に注意する必要があります。
マイコンを使用した回路を設計する際には、静電気やサージなどのESD保護対策を行なわないと故障してしまうことがあります。上記の回路図の場合だと、マイコンの入出力ピンと外部インターフェースと回路的に繋がっている為、静電気などの影響を受けやすく破損してしまう事があります。
マイコンを使用した回路を設計する際には、マイコンの入出力ピンには上記の回路図のように保護回路を通して外部へ接続します。保護回路に使用する電子部品としては、フォトカプラ、ツェナーダイオード、バリスタなどがあります。こうした部品を使用することで、外部影響での故障を防ぐことが出来ます。
ポイントは、
マイコンは、静電気やサージなどの対策を行わないと故障してしまうことがありますので、マイコン設計の際には、マイコンの入出力ピンには保護回路を通して外部へ接続することで、マイコンの故障を防止することができます。
>>「設計のポイント:マイコンのIOポートはESD保護対策を行う」はこちら
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