インピーダンスとは、電気回路における交流信号の「抵抗」の一種で、抵抗成分とリアクタンス成分(誘導性と容量性)を合わせたものです。直流回路で用いられる単純な抵抗とは異なり、高周波信号ではインダクタやコンデンサの影響を受け、複雑な振る舞いを示します。インピーダンスは、電圧と電流の比(単位はオーム)として定義され、以下のように表されます:
Z=R+jXZ = R + jXZ=R+jX
ここで、RRRは抵抗成分、XXXはリアクタンス成分です。高周波回路では、このインピーダンスを正確に制御することが、信号品質や電力効率を左右する重要なポイントとなります。
高周波基板では、信号の波長が短くなるため、配線や部品の寄生効果が大きな影響を及ぼします。インピーダンスの不整合が発生すると、反射波が生じ、信号の歪みや損失が発生する可能性があります。
特に重要なのが、信号伝送ラインにおける特性インピーダンスの一致です。特性インピーダンスとは、伝送ラインが一定の条件下で信号を効率よく伝送できる状態を表す値です。伝送ラインの特性インピーダンスと回路の入力インピーダンス・出力インピーダンスが一致しない場合、以下のような問題が発生します。
そのため、高周波回路設計では、各部品や回路のインピーダンスを適切に設計・調整することが重要です。
入力インピーダンスと出力インピーダンスは、それぞれ回路が外部から信号を受け取る際、または信号を外部へ送り出す際に影響を与える特性です。高周波回路における設計では、これらのインピーダンスのマッチングが重要な課題となります。
入力インピーダンスは、外部から回路へ信号が伝達される際の抵抗値を表します。この値が不適切である場合、信号源との間に反射や信号損失が発生する可能性があります。例えば、アンテナや信号源の特性インピーダンス(通常50Ω)と回路の入力インピーダンスが一致する必要があります。
一方、出力インピーダンスは、回路から外部へ信号が伝送される際の抵抗値です。出力インピーダンスが負荷インピーダンスと一致しない場合、電力の効率的な伝達が妨げられる可能性があります。
高周波基板設計では、インピーダンスに特に注意が必要なポイントがいくつかあります。
配線の長さや形状は、回路のインピーダンスに大きな影響を与えます。特に高周波信号では、配線が信号伝送ラインとして動作し、寄生インダクタンスや寄生容量が生じるため、インピーダンスが設計通りにならない場合があります。そのため、以下のような工夫が必要です。
部品の特性インピーダンスが回路全体に与える影響も考慮する必要があります。例えば、高周波トランジスタやフィルタを選ぶ際には、デバイスのインピーダンス特性が設計目標に合致しているかを確認します。
設計したインピーダンスが正しいかを確認するためには、高周波測定器を活用します。代表的なツールとして、ネットワークアナライザがあり、Sパラメータを測定することでインピーダンスの整合性を検証できます。
以上のように、高周波回路設計では、インピーダンスの制御と整合が設計の成否を左右します。
ハマトウカンパニーでは高周波回路設計から部品調達、実装、組立まで一貫して対応することが可能です。ご検討やお悩みの際は是非ご相談ください。
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