スイッチ素子のZVS(Zero Volt Switching)やZCS(Zero Current Switching)を使う共振インバータのスイッチング方式は「ソフトスイッチング」と呼ばれます。対してZVSやZCSを使わない方式は「ハードスイッチング」と呼ばれ大別されます。
「ソフトスイッチング」は、ZVSやZCSによってターンONやターンOFF時に発生するスイッチング損失を大きく減少させることができるため、低損失で高効率インバータ回路の設計が可能です。また、このZVSやZCSはスイッチング素子に発生する電圧や流れる電流に重畳するリンギングの発生を大きく抑えることができるため、不要輻射ノイズや雑音端子ノイズの低減に大きく寄与します。
「ソフトスイッチング」は、DC-DC電源、いわゆるコンバータ回路にも使用されます。一般的なDC-DC電源の回路構成は「ハードスイッチング」となり、スイッチング損失が減らしにくいために効率が悪くノイズも大きくなります。コンバータ回路を「ソフトスイッチング」させるためには電圧共振や電流共振の回路構成へ変更が必要になります。一般的には電流共振が多く使われ、LC直列回路を含んだ電流共振型、さらに高効率化を達成することができるLLC共振型が最近の高効率コンバータの主流回路構成になっています。